中公新書「新型コロナの科学」(黒木登志夫著、2020年)を読了。著者は癌研究の第一人者で元岐阜大学長。2020年発生のコロナについて、感染症としての科学的理解、各国の対策、日本の対策、対策のプロとコンについて分かりやすいコンパクトな情報を提供して…

吉田右子著「メディアとしての図書館」(日本図書館協会2004年刊)を読了。アメリカの図書館学研究の中心となったシカゴ大学の図書館学部の初期(20世紀初頭〜)の研究体制と研究トレンド、シカゴ大学の研究者を一つの極(中心)とする公共図書館論の…

acrl (Association of College and Research Libraries)の隔年の大会に参加した。3500人以上が参加する大規模イベント。300以上の、プレゼンテーション、ワークショップ、ラウンドテーブルなど多様な形式のセッションと、これも多数の出展から成るポスタ…

加藤典洋「戦後史」を読む。

批評家加藤典洋さんの「戦後史」を読んだ。第二次大戦中に英米露の政治家が「無条件降伏」について話し合った事実をふまえ、その直前に核爆弾の実験に成功したルーズベルトが核の使用を前提に、戦後に戦争犯罪に問われないようにするための戦略として「無条…

american sniper

クリント・イーストウッドの「アメリカンスナイパー」を見た。それぞれのシーンはイーストウッドらしい無為な投げやりとも思えるショットの連続だが、ショットの積み重なりが、重い印象を残す。アカデミーを取るには、各ショットが物語の盛り上がりに向けて…

村上龍の「歌うクジラ」を読んだ。映画(映像)の影響が大きく、SF的なシチュエーションを映像的になぞることが大きなモチーフのように思える。未来的な状況のシミュレーション小説と言える。しかし、SF小説でない本質的な力技は、映画に良く出てくる場面や…

アラスカ大学名誉教授赤祖父俊一氏の「正しく知る地球温暖化」(誠文堂新光社)を読んだ。スパコンを使って、シミュレーションをする気象学者の二酸化炭素による温暖化説に対して、地球という複雑系の気候現象の理解しがたさを、古気候学の成果を踏まえて提…

加藤典洋の「敗戦後論」を読んだ。もう20年近く前の著作だが、集団的自衛権が大きな政治的焦点となっている今、もっともポレミックなテーマを提供している批評だ。 簡単に要約すると、日本人は「被害者」としても「加害者」としても太平洋戦争(あるは大東…

蓮實重彦の「反=日本語論」を読んだ。30年前の著作で、ポスト構造主義の思潮を踏まえた著者の反「制度」的批評の走りの文章だ。フランス人の奥さん、フランス語と日本語を話すバイリンガルの子息、という家族環境の中で遭遇する言葉をめぐる齟齬と驚きの…

図書館の新たなサービスとしてLearning Commonsが我が国で話題になって10年弱が経とうとしている。業界団体の仕事で、国内の文献と海外の文献をあたってみている。おおむね、Donald Beagleの解釈が、すくなくとも日米で主流となっている気がした。言い換えれ…

ブラッドパックの一人だったアメリカ人俳優のAndrew McCarthyのtwitterをフォローしたところ、フォロー仕返された。昔は雑誌等でのぞき見るだけだった(しかもハリウッドの)有名人がSNSで簡単に「繋がる」時代となったことを感じる。とても不思議だ。 Andre…

大江健三郎の「「雨の木」(レインツリー)を聴く女たち」を30年ぶりに再読した。吉本隆明の「マスイメージ論」で、村上春樹の「羊をめぐる冒険」とこの「レインツリー小説」が時代を象徴する小説として高く評価されているのを読んで、単行本を購入した。…

モリー・リングウオルド

Pretty in Pink のモリー・リングウオルドが、歌手、作家としても活躍していることを知った。早速、彼女のジャズアルバムを購入。亡くなった監督ジョン・ヒューズへの想いを述べたニューヨークタイムズのインタビューも琴線に触れるものがあった。ブラッドパ…

参宮橋のイタリアン

先日、オリンピック青少年センターであった会議に参加したおり、最寄りの参宮橋駅の真横にあるイタリアンレストランでランチを頂いた。3200円のコースで、前菜、野菜の盛り合わせ、茄子のトマトソースパスタ、肉のメイン、デザート、エスプレッソの組み…

業界団体総会

先週、業界団体の総会があった。「研究集会」では電子ジャーナルの包括契約を中止することについての発表があり、10年以上前に始まったいわゆるビッグ・ディールの終焉が来ていることを感じさせた。何かの終焉は何かの始まりかも知れず、その意味で学術情…