アラスカ大学名誉教授赤祖父俊一氏の「正しく知る地球温暖化」(誠文堂新光社)を読んだ。スパコンを使って、シミュレーションをする気象学者の二酸化炭素による温暖化説に対して、地球という複雑系の気候現象の理解しがたさを、古気候学の成果を踏まえて提示し、1800年前後から地球は自然のサイクルとして小氷河期からの回復期=温暖化の過程にあり、1946年以降の二酸化炭素の急増によるとされる地球温暖化は、両者の複合であると提案する。従って、温暖化は起きているが、その原因の要素構成の割合は科学的に究明しなければならず、スパコンによるシミュレーションは、変数として長周期の気候変動の要素を組み込んでいない。政策としての二酸化炭素削減策を国際的に主張できるだけの科学的根拠は示し得ておらず、まず、科学としてスタンスに戻らなければならない、という主張だ。あらゆる異常気象を温暖化のせいにするマスコミの論調や「排出取引」に違和感を覚える自分としては、一つの貴重な考慮すべき論と思う。概ね同じ論に立つものに、中央大学名誉教授の深井先生の著書がある。

赤祖父先生 

http://www.sci.tohoku.ac.jp/news/20121105-2032.html

深井先生(中公新書

http://blog.knak.jp/2011/08/---co2.html